Adolphe Sax
■ Baritone
1920年頃製。LowBb から High F まで音色は深く、強力である。サイド Bb はセルマー M-22 のアルトと同じシステムをとっている。ネックU字管の巻きが今の楽器とは逆。
■ Alto
1920年頃製。音色はやわらかく深い。フロントFキーもそなわり、サックスとして完成している。渡辺貞夫さんに「普通にちゃんと吹けるじゃない」と言われたのはこの楽器である。
■ Alto
1900年頃製。キーパールはまだ無く、金属のプレートのままである。管径はもう一本のアルトより太い。特徴的な(画期的な)オクターブキーシステムを持つ。音色はやわらかく太い。
■Tenor
1910年頃製。管径はかなり太く、音色も強力である。キーガードに特徴があり、優美な外観である。刻印になぜか父であるアントワーヌ・ジョセフの名があり、想像力を刺激される。
■ Soprano
1910年頃製。音色は明瞭であるがフォルテで吹いても高音が耳にキンキン来るような事はない。右手D/Ebトリルキーシステムがあり、サイドキーは現在と同じキーが使われている。
■ Soprano
1910年頃製。シリアルナンバーはより新しいがサイドキーのシステムは見ての通り古い。D~Fまでのサイドキーは私が製作。ネジ止めなので15分で原型復帰可能。
Selmer Alto
■ Serie1922 #769
モデル22との刻印はない。ベルのロゴマークがクランポンのロゴとよく似ている。音色はやわらかく先述したアドルフサックスのそれに似ているが、セルマーの方がクリアーな感じがする。同じように音の指向性は弱い。
■ Model26
1928年製。このモデルから、レディオインプルーブドまでの3つのモデルの大きな差異はほぼオクターブキーの違いと言っていいと思われる。このモデルはモデル22と同じ。
■ Ciger Cutter
1931年製。本体は前記のようにモデル26とほぼ同じ、特徴的なオクターブキーを持つ。葉巻たばこの吸い口切りに似ているところから、この名がある。
■ Redio Improved
1933年製。前記の通り本体は前モデルと同じ。このモデルになって初めてオクターブキーに現在と同じシーソーキーが使用されている。
■ Balanced Action
1934年製。このモデルからLowB、Bbキーがベルの右側に位置することになる。この楽器のシリアルナンバーから考えればレディオインプルーブドの時代のものなので、多分、このモデルのプロトタイプの楽器ではないかと思われる。右手キーのストッパーキーが無く、右手キーの上側にストッパーとして、一本のバーがついている。トーンホールはインラインのまま。音色的には現在のセルマーの音色に近い。
■ Super Balanced Action
1949年製。このモデルから、左右のトーンホールの位置が初めてオフセットになり、現在のサックスのトーンホール配置とほぼおなじになる。音のレスポンスはきわめて良く、やや軽い音色ながら、魅力的である。
■ Mark6
1954年製。セルマーの代表的モデルであり製作年数も約20年と長い。その音色は魅力的で色っぽい。このモデルからネックのオクターブキーにSの字が入り、現在まで続いている。
■ Padless
1950年頃製。この楽器はセルマーU.S.Aがブッシャー社で作らせたらしい。タンポは無く、トーンホールのフチにドーナツ状のクッションを取り付けそれによってトーンホールをふさいでいる。タンポ皿は板状のままである。ただ彫刻は非常に美しい。
■ Selmer Soprano Model 22 #2419
1943年製。非常にシンプルながら後のマーク6の原型となっている楽器である。ハイはD#キーまでで音色はやわらかく、楽器の重量は軽い。
■ Selmer Tenor Balanced Action
1938年製。音色は太く、男らしいテナーである。トーンホールはインラインで、LowB、Bbのキーガードがシングルガード2個になっている。美しい彫刻をもち、今のところ、ほぼ無傷である。